清楚咲夜の日記

何らかの研究をしている私が、趣味について綴るブログです

社会人大学院について 入学試験と仕事を続けるか辞めるか問題

皆様いかがお過ごしでしょうか。清楚咲夜と申します。

今回は「社会人大学院」をテーマに論じてみたいと思います。

 

社会人大学院とは

既に多くの方が知っていらっしゃると思いますが、改めて。

社会人大学院とは、簡単に言えば、社会人の方が大学院でより高度の知識を身につけ、それを課題解決に活かすとか、学び直しの場です。

社会人の方が大学院に入学する場合、以下のことが考えられます。

  • 働きながら高度な知識を身につけたい
  • 勤務する中で不思議に思ったこと、課題だと思ったことを解決したい
  • 第三の場所(サードプレイス)を作りたい
  • 仕事を辞めて研究に集中したい

などなど。

実際に、私も今仕事をしながら大学院に通っているので、これらの点から色々と記述できればと思います。

 

ちなみに、筆者(中の人)については詳しく書けない部分もありますが、元々大学で勤務していて、日本の課題といわれている「研究者が研究に充てられる時間が少ない」ことや、研究における国際競争力の低下、より上位の学位を取得してキャリアアップにつなげたい、などといった想いから仕事を辞めた次第です。

それで現在は、上位学位取得のために論文執筆や研究するためのデータ・資料集めに集中しながら別のところに転職して、一応働きながら大学院に通っている状態です。

研究者・社会人という2つの側面を持ちながら改めて大学院に入ったので、他の方(ゼロスタート)に比べたらスタート地点は違うかな、とは思いますが。

 

社会人大学院に入学するには

社会人大学院に入学するには、各大学が公表している募集要項に基づいた入学者選抜が行われます。

ほとんどの大学で、学士(4年制大学卒業)を取得していることが求められますが、この限りではありません。

学生募集要項では、社会人○年以上経験しているかつ大学卒業と同等程度の知識・能力がある人~といった文言があるように、高卒の方でも、短大卒の方でも社会人としての勤務経験がある一定年数あれば、「受験資格」が得られます。

この場合、受験資格審査に当ってはレポート試験などがありますが、大学によって変わるので一概には言えません。大卒を除く方は、まず「受験資格」を得るための試験があることをお忘れなく。

 

一般的な試験(入学試験)では、研究計画書、小論文試験と面接が組み合わされることがほとんどです。

国立・私立で違いはありますが、小論文試験では、その専攻科に関する出題がされます。例えば社会学ですと、労働問題や社会構造といった出題が、地理学だと土地利用や景観、まちづくりに関することなどが想定されます。

1問ではなく、複数問題がありそれを所定の時間で論理立てて論ずる必要があります。これは訓練するのみですね。

面接では、研究計画書に基づく内容がメインに聞かれます。小論文試験よりウェイトは高い。

なぜならば、2年ないしは3年、5年という限られた時間で研究成果を上げて修了しなければならないので、それに耐えうるだけの研究能力(知識・技術・経験)があるか、論理的な説明能力があるか、研究の見通しと現実性があるかなどを総合的に評価されます。かなりツッコんだ質問(研究技法や背景と課題、規模など)がされます。

 

入試については、過去に業務で携わっていたのでこれ以上詳細には書きません。

 

どのように学ぶか

先述したとおり、社会人大学院では「仕事を続けて学ぶ・研究する」人と「仕事を辞めて学ぶ・研究する」人に分かれます。勿論、学部から上がってきた院生もいます。

働かないで院に行った時と、働きながら院に行った経験から、その2つのメリット・デメリットについて述べて、本記事は終わりにしたいと思います。

 

仕事を続けながら学ぶ・研究する場合

メリット
  • 仕事しながら学んでいる仲間がいるので心強い(共感)
  • お金の心配をすることなく学び研究が出来る(金銭)
  • オンとオフ、時間の使い方を自然と意識するようになる(時間)
  • 得た知識や技術を業務に活かせる(能力)

 

デメリット
  • 時間の確保が難しい場合がある(時間)
  • 体力・精神力的に厳しい場合や日がある(体力・精神)

 

正直、働きながらというのは、企業が行ってこいという場合と本人の意思で進学を志す場合がありますので一概には言えませんが、今の私は本人の意思による進学に当ります。

私の経験上、仕事しながらですので大変な日があることは事実ですが、それ以上に「新たな知見・知識が得られることの喜び」と「切磋琢磨できる仲間がいる」という安心感、そして「自ら興味を持つことを究める」ことに対する満足感が勝ります。

様々な経験を持つ方とディベート・意見交換をすることで、物事に対する価値観や見方というものが広がり、必然と自身の研究の方向性に光が差すことにもつながっています。

 

仕事を辞めて学ぶ・研究する場合

メリット
  • 研究活動に集中出来る(熱中)
  • 時間の使い方を気にしなくて良い(時間)
  • 緩急を付けた研究活動が出来る(時間・体力・精神力)
  • 知見蓄積や学問を究めることができる(知識)

 

デメリット
  • 金銭的余裕がなくなる(金銭)
  • 時間の使い方に気を付けないと昼夜逆転する(時間)
  • 孤独を感じることが増える(共感)

 

といった具合でしょうか。

とにかく、仕事を辞めて院に行った後はデメリットである金銭面で大変苦労しました。

研究をするにもお金がかかりますし、家賃や食費などを入れると結構なお金がすぐに消えていきます。とりわけ、地理学系であればフィールドワークが必須ですので、現地調査をするにも莫大な費用がかかり、どうしたら支出を減らせるかで頭がいっぱいでした。大学院では、金銭的余裕は精神的余裕と比例するので、仕事を辞めて院に行くなら、最低でも200万、推奨400万は準備しておきたい所です。私の場合は、院に入る前に預貯金が150万位ありましたが、年金や賃貸借契約、生活費、研究費用などで1年持たずに底をつきました。結局、博士人材不足もこれが理由だと思いますが。

ただ、金銭的余裕がある場合はメリットがより一層際立ちます。のびのびと研究ができるので、知識を圧倒的に蓄えることが出来ますし、時間にとらわれず学び研究できるので、戦略的に論文執筆や調査が行えるのは良かったですよね。