清楚咲夜の日記

何らかの研究をしている私が、趣味について綴るブログです

花粉症の原因である「スギ花粉」ができない杉は存在する。

皆様いかがお過ごしでしょうか。清楚咲夜と申します。

今回はちょっと変わり種の内容をお送りしていこうと考えています。

というのも、そろそろ花粉症が気になる時期ですよね。私は昨年に空気清浄機を導入したので、昨年の同時期よりもそこまで花粉症っぽい症状はないので、今のところ安心しています。

最初は「なぜ杉が多いのか」続いて「花粉の少ない・できない木」についての紹介。

 

花粉症の原因と言えば「スギ・ヒノキ」の花粉。で、今回は「スギ花粉」に注目していきます。

杉と言えば定説では「杉=花粉症の原因」として扱われていて、戦後や高度経済成長期なんかの、物資が少ない時に禿げ山に「成長が早いから」つまり、早く成長して早く商品価値になる―ということで、沢山植林されてきたわけですが。

 

で、木材は植えて2~3年で育つというわけでは無く、戦後間もない時に植えたとしても、実際に商品として利用できるようになるには植えてから20~30年は最低必要です。

ですから、1945年に終戦を迎えたとして、1950年頃に植林を開始しても実際に利用できるようになるのは1970年以降と言うことになります。

 

丁度この頃から、挙家離村(つまり、過疎)が進行し始めました。それと同時に、成長に20~30年かかって木を育てるよりも、海外から輸入した方が安価かつ、早いということで、国内の木材は需要が減っていきました。

 

この「海外からの木材輸入」と、過疎による森林を管理する人々(林業を生業としている人々)が減少したことによって、現在の大きな問題である「森林の放置」や、スギ花粉といった問題に繋がっていきます。

 

森林の放置に関しては「林業が昔ほど儲からない」というのも一つの問題であります。木材のブランド化(紀州杉、吉野杉など)をしている木材に関しては比較的高値で取引がされていたり、樹齢何百年となる木も高値で取引されていたりします。

 

ただ、闇雲に植えて樹齢○○年!と言うのではダメで、適度に間引きを行わなければ細々とした木にしか成らないのです。また、適度な間引きは根を強くするので、土砂災害など、昨今の台風や豪雨被害に順応するには不可欠なことです。

 

やはり、適切に管理された森林であれば今のような著しい花粉症とまでは行かなかったはず。

 

本当はこれだけの説明では足りないのですが、おそらく説明には5~6000文字くらいを要するので、大まかなアウトラインのみの説明です。他にも理由があるのですが、省略で。

 

続いて「花粉のできない(ならない)杉」について。

皆さん、普段から「花粉のできない木材はないの?」と思われる方が多いのでは無いでしょうか?

本当は「花粉症の原因である"""スギ花粉"""のできない杉」は存在します。

ただ、問題点としては

  • 現状、生産者が1名のみ
  • 花粉ができない=増やすのは人の手が必要

というのが現状の問題点です。

問題点=普及しない、できないと言う問題です。

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こちらが私が撮影した「くますぎ」の写真です。直接、くますぎ農家の方に出向いて撮りに行きました。

触ってみるとまあ、柔らかいこと。

チクチクしないのです。

 

写真のくますぎ(苗木)は1年ほどのものですが、2年間ほど苗木の状態を経て出荷されます。

 

では「くますぎ」って何?

と思われる方も多いはず。説明していきます。

 

くますぎは「長野県須坂市」の「市の木」として制定されており、説明の通り、花粉のできない(ならない)杉です。増やすには、花粉を飛ばさないので人工的に「接ぎ木」という作業をしなければならず、人の手によってしか増えない杉です。「挿し杉」ともいいますね。

ですから、既存の杉のように「スギ花粉」が飛ばなくても、しっかりとした杉なんです。(とは言っても、ほんの微量だけ花粉はできるみたいですが、本当にごく僅からしい。)

「こんなものがあるなら全部変えれば?」と思った方、絶対いるはず。

でもね、この問題はそうは簡単にクリアできる問題ではありません。

問題としては

  • 生産者不足
  • 木材価格の低迷

この2つなんです。「儲からなくてもいいから作れ!」と考える方もいるのでは?

そもそも先ほど、「なぜ杉が放置されてきたか」について説明した時、「林業で儲けられない」と言う内容の説明をしました。

それが大きく関係しています。

元々林業は儲かる産業でしたが、輸入木材によって日本産の木材が売れなくなり、廃業する方が増えました。

この「くますぎ」においても同様の歴史があります。

一般的な杉の場合は「花粉」ができることによって新たな木が増えていきますが、この「くますぎ」においては「花粉ができない」が故、人の手によってしか増やすことができないというデメリットが存在するため、手間がかかります。

成木までの時間は同じですが、放っておいても増える物に比べて手間がかかり、先ほど述べた「成長に時間がかかるなら輸入した方が早くないか?」ということもあって廃れました。

 

更に言えば、某大陸国も砂漠化が進んでいる様で、逆に「木材(苗木)を輸入」しているそうですから、日本の木材事情を考えれば今がチャンスだと思うのですが。

(その場合、既存の放置された森林問題を解決する必要がありますね。また、企業のCSR活動において植樹活動が行われていますが、人の手が入らないと同じことの繰り返しだと考えています。植えるより、間引きをした方がいいんじゃないかな。)

 

そのあたりの問題については、各個人で調べてもらった方が早いと思います。

今回はざっと「スギ花粉ができない杉がある」というテーマですから。

 

昨今では「クラウドファンディング」などありますから、「くますぎ」にかかわる林業従事者の育成と放置森林の解決の両方になんらかの支援が行えればいいと考えています。

放置森林を解決すると言うことは、様々な自然災害から日本を守る、熊・鹿などの害獣の問題解決に一役買いますから、実はメリットだらけなのです。

最近では、キャンプブームもあって個人が山を買って手を入れているようですから、このままブームが続けば、もしかしたら問題が予想しない方向から解決されていくのかもしれませんね。